通訳案内士試験ガイドライン

【1】.試験全体について

(1)目的

  • 試験の目的は、「通訳案内士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定すること」(通訳案内士法第5条)であり、出題方針も、通訳案内の実務に沿った内容、レベルの問題を出題することとする。

(2)試験方法

  • 受験資格は、不問とする。
  • 試験科目は、筆記(第1次)試験については外国語、日本地理、日本歴史及び一般常識(産業、経済、政治及び文化)とし、口述(第2次)試験については通訳案内の実務(外国語及び人物考査)とする。
  • 外国語の筆記試験については、極端な難問とされるような問題を避け、通常、通訳ガイドとして最低限求められる、読解力、説明力、語彙力等、口述力以外の総合的な語学能力を問うものとする。
  • 日本地理、日本歴史及び一般常識の筆記試験については、極端な難問とされるような問題を避け、日本の地理、歴史並びに産業、経済、政治及び文化についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)であって、訪日外国人旅行者の関心の強いものに関する知識を問うものとする。
  • 口述試験については、筆記試験で問うた総合的な語学能力並びに日本地理、日本歴史及び一般常識の知識を総合的に活用して行われる、通訳ガイドの現場で必要とされる実践的なコミュニケーション能力を問うものとする。併せて、通訳ガイドとしてのやる気・熱意や適性を判断することとする。

(3)試験委員

  • 通訳案内士試験委員(以下「試験委員」という。)は、原則として、外国語の筆記試験については外国語ごとに2人以上、その他の科目の筆記試験については科目ごとに2人以上、口述試験については外国語ごとに2人以上選任されるものとする。
  • 試験委員は、筆記試験においては、試験問題の作成、答案の採点及び合否の判定に関する事務を行い、口述試験においては、試験問題の作成及び合否の判定に関する事務を行う。
  • 試験問題の作成に当たっては、問題案を作成する試験委員と内容をチェックする試験委員を分けるなど、十分なチェック体制を確立し、一部の受験者だけに有利になる問題や、内容に偏りがある問題等の出題を回避する。

(4)合否判定

  • 筆記試験の合否判定については、科目ごとに合格基準を設定し、すべての科目について合格基準に達した者を筆記試験の合格者とする。受験者には筆記試験の合否のほか、科目ごとに合格基準に達したか否かを通知する。
  • 外国語を含む筆記試験の各科目について、本ガイドラインに従い、科目ごとに目標とする平均点を設定して問題作成を行い、あらかじめ合格基準点を設定しておき、当該合格基準点に達したか否かをもって合否を判定する。
  • 実際の平均点が、目標とする平均点から著しく乖離(かいり)した科目については、当該科目の試験委員と試験実施事務局から構成される検討会を開催する。その結果、必要があると判断された場合には、合格基準の事後的な調整を行う。この調整は、平均点の乖離度及び得点分布を考慮して行う。
  • 口述試験の合否判定については、あらかじめ評価項目を定めておき、全ての評価項目について合格基準に達した者を口述試験の合格者とする。

(5)試験免除

  • 一の外国語による通訳案内士試験の筆記試験に合格した者が、次回の通訳案内士試験(※)を受験する場合は、当該外国語による筆記試験を免除する。

    (※)「次回の通訳案内士試験」とは、「当該試験終了後、最初に行われる通訳案内士試験」を指す(本ガイドラインにおいて以下同じ。)。

  • 一の外国語による通訳案内士試験に合格した者が、他の外国語による通訳案内士試験を受験する場合は、外国語以外の科目についての筆記試験を免除する。
  • 通訳案内士試験の筆記試験の一部の科目について合格基準に達した者が、次回の通訳案内士試験を受験する場合は、当該科目(外国語については同じ種類の外国語に限る。)についての筆記試験を免除する。
  • 一の外国語による地域限定通訳案内士試験に合格した者が、当該外国語による通訳案内士試験を受験する場合は、当該外国語の科目についての筆記試験を免除する。
  • 一の外国語による地域限定通訳案内士試験の外国語筆記試験について合格基準に達した者が、当該試験終了後、最初に実施される当該外国語による通訳案内士試験を受験する場合は、当該外国語の科目についての筆記試験を免除する。
  • 旅行業務取扱管理者試験に合格した者が通訳案内士試験を受験する場合は、日本地理の科目についての筆記試験を免除する。
  • 財団法人日本英語検定協会が実施する実用英語技能検定の一級に合格した者が通訳案内士試験を受験する場合は、外国語(英語)の科目についての筆記試験を免除する。
  • 歴史能力検定協会が実施する歴史能力検定の日本史一級又は日本史二級に合格した者が通訳案内士試験を受験する場合は、日本歴史の科目についての筆記試験を免除する。

【2】.外国語(筆記試験)について

(1)試験方法

  • 外国語の種類は、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語及びタイ語(平成18年度試験より追加)の10言語とする。
  • 試験時間は、120分とする。
  • 極端な難問とされるような問題を避け、通常、通訳ガイドとして最低限求められる、読解力、説明力、語彙力等、口述力以外の総合的な語学能力を問うものとする。
  • 出題は概ね、外国語文の読解問題2題(配点35点程度)、外国語文和訳問題1題(15点程度)、和文外国語訳問題1題(15点程度)、外国語による説明(あるテーマ、用語について外国語で説明する、あるいは、日本語の文章を外国語で要約する)問題1題(20点程度)、単語外国語訳問題1題(15点程度)を基準とする。
    (参考)
    2008年度英語筆記:英文和訳問題1題(15点)、英語による説明問題1題(15点)、英文読解問題2題(25点+15点)、単語英訳問題1題(15点)、和文英訳問題1題(15点)
  • 読解問題は、長文かつ高度な内容のものとしない。
  • 和文外国語訳問題では、難解な日本語(ことわざ等)は避ける。
  • 単語外国語訳問題では、発音やアクセントについては質問しない。
  • 単語外国語訳問題については、単に知識の有無を問うというその性格にかんがみ、1問1点とし、前記の配点に合わせて問題数を調整する。中間点を評価する際は、0.5点単位の得点を認める。
    (補足)
    現行の試験  1問2点、10問、計20点    修正案 1問1点、15問、計15点
  • 毎年の出題レベルをできる限り同じにするため、平均点が60点程度となるような出題に努める。

(2)合否判定

  • 合否判定は、平均点が60点程度となることを前提に、概ね70点を合格基準点として行う。

【3】.日本地理について

(1)試験方法

  • 試験時間は40分とし、問題の数を40問程度とする。
    (参考)
    2008年度試験:4題(40問)、試験時間は外国語以外の3科目(日本地理、日本歴史及び一般常識)合計で120分
  • 解答方式は、選択式(マークシート方式)とする。
  • 極端な難問とされるような問題を避け、日本の地理についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)であって、訪日外国人旅行者の関心の強いものに関する知識を問うものとする。
  • 内容は、中学校及び高校の地理の教科書並びに地図帳をベースとし、地図や写真を使った問題を3割程度出題する。
  • 毎年の出題レベルをできる限り同じにするため、平均点が60点程度となるような出題に努める。

(2)合否判定

  • 合否判定は、平均点が60点程度となることを前提に、概ね60点を合格基準点として行う。

【4】.日本歴史について

(1)試験方法

  • 試験時間は40分とし、問題の数を40問程度とする。
    (参考)
    2008年度試験:6題(40問)、試験時間は外国語以外の3科目(日本地理、日本歴史及び一般常識)合計で120分
  • 解答方式は、選択式(マークシート方式)とする。
  • 極端な難問とされるような問題を避け、日本の歴史についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)であって、訪日外国人旅行者の関心の強いものに関する知識を問うものとする。
  • 内容は、高校の日本史Bの教科書をベースとし、地図や写真を使った問題も出題する。
  • 毎年の出題レベルをできる限り同じにするため、平均点が60点程度となるような出題に努める。

(2)合否判定

  • 合否判定は、平均点が60点程度となることを前提に、概ね60点を合格基準点として行う。

【5】.一般常識について

(1)試験方法

  • 試験時間は40分とし、問題の数を40問程度とする。
    (参考)
    2008年度試験:4題(40問)、試験時間は外国語以外の3科目(日本地理、日本歴史及び一般常識)合計で120分
  • 解答方式は、選択式(マークシート方式)とする。
  • 極端な難問とされるような問題を避け、現代の日本の産業、経済、政治及び文化についての主要な事柄(日本と世界との関わりを含む。)であって、訪日外国人旅行者の関心の強いものに関する知識を問うものとする。
  • 内容は、高校の現代社会の教科書をベースにし、新聞(一般紙)に掲載されているような最近の時事問題を加味する。
  • 毎年の出題レベルをできる限り同じにするため、平均点が60点程度となるような出題に努める。

(2)合否判定

  • 合否判定は、平均点が60点程度となることを前提に、概ね60点を合格基準点として行う。

【6】.口述試験について

(1)試験方法

  • 試験の目的は、筆記試験で問うた総合的な語学能力並びに日本地理、日本歴史及び一般常識の知識を総合的に活用して行われる、通訳ガイドの現場で必要とされる実践的なコミュニケーション能力を問うものとする。併せて、通訳ガイドとしてのやる気・熱意や適性を判断することとする。
  • 外国語の種類は、受験者が筆記試験において選択した外国語の種類と同じとする。
  • 試験時間は、1人当たり8分程度とする。
  • 試験実施方法は、受験者ごとに質問事項が大きく異なることがないような方法とする。そのため、4〜5パターンの問題群を作成し、試験の時間帯を2時間ごとに区切り、その間の受験者には同じ問題群を出題する。終了者からの問題の漏洩を避けるため、当該時間帯の間、終了者を未受験者と別の部屋に待機させ、通信機器を預かる等の措置を取る。各問題群は、例えば日本人の生活や習慣の分野から1問、日本の伝統文化の分野から1問、現代日本社会の分野から1問というように出題分野を統一するとともに、時間帯によって大きな差が出ないように、質問内容のレベルを合わせる。
  • 出題は、訪日外国人旅行者が関心を持ちそうな事項について、実際のガイドの現場を想定したロールプレイング方式を中心とする。

(2)合否判定

  • 合否判定については、試験官ごとに基準が大きく異なることがないよう、あらかじめ以下の評価項目ごとに、具体的な合格基準について試験官の間で認識を統一しておくものとする。その上で、全ての評価項目についてこの合格基準を満たした者を合格とする。
評価項目
  • 聞き取り
  • 表現力
  • 発音・文法
  • 回答能力(臨機応変な反応力を含む。)
  • やる気・熱意
  • 適性(旅行者に与える印象の良否、ホスピタリティ精神の有無等。)